2011年4月28日木曜日

数学ガール 乱択アルゴリズム


数学ガール第四弾。

一般向けとは言え、やはり数学の本なので
知らないことに関しては流し読みではすませられません。
発売が待ち遠しかったため、買ってすぐに読んだ時は先を急いでしまい
途中でついていけなくなってしまいました。
ということで、二度目は丁寧にフォロー。
説明が丁寧なので、少し時間と根気をかければついていけました。
数学の大学院生がそんなんじゃまずいだろ、というツッコミがあるかとは思いますので一つ弁明を。
私は学部時代化学を専攻しており数学とはほぼ無縁でした。
現在、在籍しているコースはそういう学生向けのコースになっています。
ですので、どうか日本の数学教育について案じられませぬよう。

この本についてざっくり説明すると、主にアルゴリズムの解析の話、と言えます。
その中でも最大の目玉は、3-SAT問題。
この問題は、答えの候補となるものが膨大な数にのぼります。
一つ一つの候補にあたり、それが答えとなるかどうか調べるのは非効率的なので、効率よく答えを見つけるアルゴリズムを考えます。
そして、考えたアルゴリズムがどの程度効率的か評価することを
アルゴリズムの解析と言っています。
この解析に使う知識は、ほぼ高校で習うことのみ。
高校の確率の授業でコイン投げだの道順の組み合わせだの
おもしろくないと思っていたことが
ここでつながるのか、と興奮しました。

もう一つ、おもしろかったのは4章の確からしさの不確かさ。
公理的確率と古典的確率で「同じ確からしさ」の意味するところが異なるということなのですが
こういう根本的な問に答えてくれるのが数学ガール。



この数学ガールのこともあり、個人的にアルゴリズム、
正確にはコンピュータサイエンス熱が上がっています。
昨年、名工大の市民向け講座でもアルゴリズムの話を聞いたのですが
そこでは、グラフ理論とアルゴリズムを使って一筆書きの経路を探したり
さらにそれをバイオインフォマティクスに応用するという話がありました。
そういった応用範囲の可能性の大きさが魅力の一つです。
さらに組合せ論、グラフ理論といった数学をツールとして使えるというのも魅力です。
計算幾何学(∈計算機科学)なんて分野もあるようですし
P問題≠NP問題予想なんていう、大難問につながる分野でもあり
広い世界が広がっていそうな感じがします。

まだ、数学の基礎を固める段階ですが
少し意識して勉強してみたいなぁ、と思い始めています。

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